くそ忙しかった年末の反動でひたすら読書の日々です。衛星関係も使えるネタが殆んど無くなってしまったし、5月のコミティアに向けての仕込みもあるしということで、本棚がひたすら太っていきます。
特に当たりだったのが「誕生 国産スパイ衛星 独自情報網と日米同盟」。タイトル通り情報収集衛星に関するドキュメンタリーです。こういう本が出ていたのかという驚きと、中で様々な証言をしているのが政府関係者ということで二度驚き。
テポドンショックを契機に政治家、官僚がいかにして情報収集衛星を保有するのにいたったのか。読んで見ると興味深い事柄があちらこちらにあり、今までの情報収集衛星のイメージがずいぶんと変わりました。
まず、衛星の取得のキッカケになったのは、テポドンショックと、もうひとつ、米国への不信感があったこと。米国は当初、日本が独自に衛星を持つと言い出した意図を理解できず、彼らなりに”落としどころ”を模索していたこと。衛星取得に動いたのは外務省や内調で、防衛庁はその動きに冷ややかだったこと。我等が石破(旧)長官は、更に静止軌道に早期警戒衛星を配備すべきだとの主張をしていたことなども興味深いところ。
これまで情報の取得を米国に依存していたことへの危機感が衛星取得への原動力として働き、さらに他国の干渉を避けるために高コストでも国産衛星開発の道を選んだというのは個人的には評価できるものです(たとえそれがダメ衛星であっても)。実際にはそのことで宇宙開発自体がグダグダになってしまうのだけど、それとこれとはまた別の問題でしょう。
日本が偵察衛星を自国で持つことも意味、またこれまで米国から購入(依存)してきたことへの危うさ。偵察衛星というカテゴリーはマニアの間でも殆んど触れられないカテゴリー故、自分なりの見識を持っていない人が殆んどだと思います。今後のニュースを楽しく理解する一助として、宇宙者問わず押さえておきたい一冊です。