不景気な話ばかりの昨今ではありますがおめでたいニュースが飛び込んできました。三菱電機さんが米オービタルサイエンス社から、NASAの宇宙貨物輸送機用近傍接近システムを受注との報せ。大変素晴らしい。
平たく言うと、HTVがISSにドッキングするさいに使われている通信システムがアメリカの次世代宇宙輸送機にも使われることになった、というニュースです。9機分約60億円とのこと。
日本の宇宙開発における重大な欠点(の一つ)、それは「もうからない」こと。民間にて超小型衛星なんてものが出てきても、実際に衛星やロケットを発注してくれるのは政府機関だけ。その数も衛星が1年に1~2機のペース。いくらお客様とはいえ、製造にもの凄い手間のかかる宇宙用の高級部品を年に1個とか発注されても、それは会社の規模によっては、まったくメリットのない取引です(むしろ赤字)。現実に宇宙開発なんかやってられるか!と脱退してしまうメーカが増えており、これは現在、深刻な問題であるのです。
それでもここ数年、これまで培ってきたノウハウが認められ、海外から日本製宇宙部品/衛星がようやっと売れるようになってきましたが、中でも今回のHTV近傍接近システムの受注は大きな意味のある取引だと思います。HTVのドッキングシステムというのは現在実用化されてるISSドッキングシステムの中で、(アメリカですら持っていない)唯一のロシアと別系統のシステム。商売的にこれは大変大きいカードであるのですから。
さて、当のHTV初号機は10月30日にISSより分離、11月初旬に大気圏に突入するとのこと。当然日本からは見ることが出来ませんが、せめて中継してくれることを願うばかりです。