「はやぶさカプセル内の微粒子の起源の判明について」
http://www.jaxa.jp/press/2010/11/20101116_hayabusa_j.html
待ちに待ったニュースがついに現実の物となりそうです。小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った微粒子がイトカワ由来の物質であると確認されました。
・微粒子の数は1500以上
2010年6月13日に帰還した「はやぶさ」と、彼女が持ち帰ったカプセル。そのケース(サンプルキャッチャー)の中に封入されていた微粒子はたいへんに小さく、髪の毛の直径よりも小さい微粒子をマニピュレータで一つずつ回収するという作業は難航を極めておりました。最終的にテフロンのへらで壁を撫でて粒子を拾うという工程に落ち着きつつあり、この作業で回収された微粒子の数は1500以上にもなったようです。ちなみにこの微粒子がどのくらい”微”なのかというと1ミリの1/100~1/1000くらい。髪の毛の太さの1/10くらいとなります。
この1500以上の微粒子の解析の結果、その組成が地球の物質と異なること、またイトカワで「はやぶさ」が観測した地表の組成とも一致すること、地球由来の物質(桜島の火山灰など)の混入が認められないなどから、イトカワ由来の物質と確認されました。しかもこの1500というのはA室の壁の一部をへらで撫でただけで出てきた数字なので、今後の調査によってかなり増えてくると思います。
このサンプルの10%はNASAにも引き渡され、長期的には世界中の研究者にも配布されます。「はやぶさ」の運用はNASAの深宇宙探査網を使わせてもらって初めて実現したプロジェクトであり、「はやぶさ」支援の見返りとしての正当な取り分といえます。
・本命のB室はこれから
個人的に想像していたよりも随分早い段階での発表でした。実は「はやぶさ」のサンプルケースの大本命であるB室はいまだ未開封なのですから。「はやぶさ」のサンプルケースは2つありまして、それぞれをA室とB室と呼びます。今回開封したA室は2回目降下のプロジェクタイルが不発射の時に使われていた部屋です。そして今回微粒子が発見された部屋はこのA室。
一方大本命のB室、こちらは「はやぶさ」がイトカワに不時着した際(1回目の降下)に使われていた部屋。イトカワ地表で「はやぶさ」が二度バウンドしてホコリを舞上げ、そのうえイトカワ地表でスラスタを吹き続けたことで、さらにホコリを舞上げており、これらがサンプルケースに届いている可能性が大きく、イトカワの微粒子が入っているのならば恐らくB室だろうと言われていました。
本命前のA室でこれほどの量が見つかったのですから、今後の展開には期待も大きいです。
取り急ぎの速報でした。続報が入り次第アップデートします。
最後に「はやぶさ」の開発、運用に携わった全ての関係者の皆様に心よりお祝いを申し上げます。
そしてよくやった!はやぶさ!