2年前の今日、3月12日10時28分、JAXAの地球観測衛星「だいち」が震災後初めての緊急観測を実施。貴重な第一報をもたらします。
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/img_up/jdis_opt_tohokueq_110312.htm
■東日本大震災では、ヘリコプターは救助活動と輸送に引っ張りだこ、国交省の観測機は沿岸部の偵察に投入されてしまい、被災地全域(特に内陸部)の広域偵察に割り振れるリソースが決定的に不足していました。こうした有事に於いて、昼夜天候放射能汚染に左右されず航空機に比べ圧倒的な観測能力をもつ人工衛星という存在は無くてはならないモノでした。
ただし桁違いの観測能力を持つ人工衛星ですが弱点もあります。人工衛星は原理として決まった軌道を同じスピードで周回するだけで、何時何分に○×上空を観測と指定して飛行することはできません。アニメの様に突然進路を変え目的地上空に飛んでいくことは出来ないのです。なので災害発生から短時間に観測できるかどうかはすべて偶然に頼るしかありません。これは人工衛星であるならば避けては通れない問題です。
そこで考えられたのがセンチネルアジアや国際災害チャーター。これは各国が持つ地球観測衛星を緊急時に協力させて被災地を集中観測しようという国際的な取り組みです。この取り組みを使えば世界中の観測衛星がバラバラの時間に何度も被災地上空を撮影することが出来ます。事実こうした取り組みが威力を発揮して東日本大震災では海外衛星による大量の観測データがもたらされ、災害状況の把握、救助活動の立案から復興計画の策定にとさまざまな局面にて役立てられたのです。
■あの震災からもう2年。宇宙基本法が制定されたことで、日本のODAを使った日本製地球観測衛星の輸出もまもなく始まります。輸出された衛星達を仲間に加え、災害時の共同観測ミッションは更に強化されつつある。さらに震災の反省として、「地球観測衛星は安全保障面で必要不可欠で有り、世代交代の切れ目無く維持、保有していく」という方針が政府として確認された。というのが震災を教訓とした最近の流れ。
一方、「だいち」衛星が寿命で失われたあとは、現在日本としては災害時の緊急観測に使える人工衛星を(実質)保有しておらず衛星による観測態勢はいわば”空白”の状態。現在急ピッチで制作中である二機の地球観測衛星の運用が開始されるまではまだまだ1年ちかくかかります。その間だけでも、大きな災害が起きないことを、ただ祈るしかありません。
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