「かぐや」が月に帰って20日、直前の盛り上がりの割に最後の時は意外にもあっけなく、いまだになんとなく終わりを迎えたような迎えないようなそんな心境です。宇宙ニュース的にはISS日本実験棟の最終組み立て(7月11日)、LNGエンジン燃焼試験(実施中)、七夕の「きずな」E-Mail同時多重伝送実験が連続して続いてるのもあるのでしょうけどちょっと寂しいですね。
というわけで今日は「かぐや」の帰還とこれからのこと。2007年9月に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」は一年半の任務を終え、2009年6月11日月面への制御落下によりその一生を終えました。4基あるリアクションホイール(RW)のウチ2基が故障となるトラブルさえなければもうすこし長い観測が出来たはずなのが残念です。個人的にも落下はもう少し後だと予想して作業を進めていたところを落下の前倒しに伴い、締め切りまでが前倒しになってしまったので、RWにはもうちょっと頑張って欲しかったです。
彼女は月の周回軌道を秒速1.6kmというから時速6000km近く(銃弾の5倍くらいか)の速度で飛び、二時間で月を一周します。最期の運用は、最終落下から約1時間前である午前2時40分頃に行われました。月の北極と南極を通る縦の軌道を取る彼女は北極上空で減速噴射。そのまま月の裏側を通り南極付近から表側に回り込み6月11日午前3時25分、目標地域に落下、という流れ。落下地点は目標から数キロ以内というきわめて正確なモノで、今後の月着陸船の降下ミッションに備えた貴重なデータを「かぐや」は残しました。
いつまでもそのからだを高い軌道に残す、というのもロマンだと思いますが、制御の効かない体を月の軌道に貼り付けておくのは他の探査機にとっては害ともなりかねませんし、やはりこういう方法が良いのだと思います。天気が悪かったので国内ではその最後を観測するに至りませんでしたが海外の天文台がその最後の観測に成功しています。大団円ですね。
「かぐや」落下の第一報は残念ながら海外からとなりましたがアメリカの月探査機LCROSSがtwitterの中で
#Sayonara Kaguya! Impact occurred June 10 at 18:25 (GMT), estimated location S65.5 E80.4. Thanks for those awesome datasets of the moon!
8:52 AM Jun 11th web
とお別れを述べていたのが印象深いです。面白い時代になったナー。
最後にご紹介するのは「かぐや」の地形カメラによる制御落下軌道の3D動画。あ、ギャラリーでもラストショットがまとまって掲載されてるのでこちらも(かぐや画像ギャラリーへリンク)。
来月中旬から下旬にかけて秋葉原「かぐや」祭と宇宙科学研究所の一般公開が行われます。中の人から生の声を聞く貴重な機会ですのでお近くの方は是非是非お出かけください。
それではノシ
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