掲示板で教えて頂きました。ありがとうございます。良くできてると思いますし、出だしでブワワッっと来てしまいますけど、一方で随分とストーリーをはしょっているのでちょと勿体ないとも思ってしまいます。すこしだけ補足の解説を書いてみました。
「はやぶさ」がイトカワにタッチダウンを行った直後、様々なトラブルが起きました。そのたたみかけるようなトラブルと、それをけなげに乗り越える「はやぶさ」のストーリーはミッションの中でもとても面白い部分なのですが、なにぶん量が多すぎて書ききれるものではありません。何点かを抜粋して復旧に至る経緯を解説してみようと思います。
・次の問にこたえなさい
まずは下のイラスト、姿勢制御エンジンの全損について。まず基本として「はやぶさ」には2種類のエンジン/燃料が積まれていることを知らなければいけません。メインエンジンであるイオンエンジンの他に、体を取り巻くように12基の姿勢制御エンジンが着いてるのです。イオンエンジンが車のアクセルとするのなら、姿勢制御エンジンは探査機の向きを変えるハンドルに相当します(本当はもう一個ハンドル(リアクションホイール)が着いているのですが、それはすでに駄目になっています)。
この姿勢制御エンジン群がイトカワへの不時着と前後して燃料漏れを起こし全滅してしまいます。このトラブルにより「はやぶさ」は向きを変えることが出来なくなってしまいました。イオンエンジンは生き残っているモノの、これは体の重心を貫くように配置されているのでこれをいくら噴かしても前に進むだけなのです。そこで編み出された運用チームの回答が下のカット。つまりイオンエンジン中和機からの生ガス噴射でした。この中和器は「はやぶさ」の重心に沿うようには取り付けられていないので、中和器からガスを出せば当然体のバランスが崩れ、向きを変えることが出来ます。この現象を利用したのです。
※ごめんなさい↑解説大きい奴→■この生ガス噴射走法は「はやぶさ」の地球帰還への可能性を大きく広げましたが、姿勢制御エンジンの全滅の原因となった燃料漏れは深刻な問題を「はやぶさ」にもたらしていました。体の中に漏れた燃料は、体内で気化し発生したガスが体から吹き出すことで「はやぶさ」を振り回したのです。宇宙機にとってバランスを崩すというのは致命傷。まず太陽電池を太陽に向けられなくなるので電力を得られず餓死してしまう危険、そして体の向きが変わればアンテナの向きが変わり地球との交信も出来なくなります。通信が不能になり、発電が出来なくなり、さらにバッテリーを全て使い果たしたとき、宇宙機は死んでしまうのです。
しかし燃料ガスの気化が落ち着くまでどうにもできません。ガスの吹き出す力を、自分の体が振り回されるのを「はやぶさ」自身では止めることが出来ないのです。「はやぶさ」は味噌すり運動と呼ばれるスピンに入っており、通信も太陽光による発電も出来ない状態に陥り、とうとう消息を絶ちました。ついに待つことしか、祈ることしか出来なくなりました。
その危機を救ったのも実は「はやぶさ」の設計でした。燃料ガスの気化が治まっても、スピンが停まるわけではありません。しかし「はやぶさ」は回転していても、体を縦に貫く軸を中心に回転するようにバランスされている設計。ガスが噴く間は頭を右に左と振り回されますが、それが止まれば、あとは体のバランス配分が生きてきます。味噌すり運動は日に日に落ち着き、ついには地球と同じような一本軸を通った素直な回転に落ち着きます。そしてブレを止めた体の軸は、見事に地球を自らの通信アンテナの交信域に納めました。孤立無援、地球との通信さえ出来ない状況化で、「はやぶさ」は三ヶ月にわたる死闘の末、遂に地球との通信を再開したのでした。めでたしめでたし。
見事通信は回復、はやぶさは生還を果たしたわけですが、一連のトラブルにより、バッテリーが全損し、電源断によりメモリーに溜められていた記憶をも失い、体の中にはまだ漏れた燃料が残っていて爆発の可能性すらもあるのですが、それはまたまた別の話で。
「はやぶさ」はトラブルの度に不死鳥のように復活するそのロバスト性の高さは素晴らしいと思います。そして同時に、このトラブルの大元となった原因。つまり”他天体への不時着が原因でトラブルを起こした”という事実もまた、素晴らしいと思うのです。
>KAiRUさん
お問い合わせどうもありがとうございます。
手元には在庫もありますし、わたしとして
も、通販も行いたいのですが、こればかり
はZINさんのご判断に任せるしかないので
す。ごめんなさい。
再販があるようでしたら告知させて頂き
ます。
投稿情報: しきしま@管理人 | 2009/11/25 04:15
>johnnyさん
ああ!作者さんですか。わざわざありがと
うございます。オープニングとかわたし凄
い好みで楽しませて頂きました。テクニカ
ルタームをこの秒数で入れるのは確かに難
しいですよね。色々大変だとは思います
が、新作楽しみにしています。
投稿情報: しきしま@管理人 | 2009/11/25 04:14
>越後屋善兵衛さん
ありがとうございます。こちらも凄い。
ロケットの分離、噴射煙の流れ方、限定さ
れたツールなのに良く雰囲気がでてると思
います。参考文献としてお役に立てたのも
誇らしいです。
>にーしゃんさん
ご紹介頂きありがとうございます。内容と
しては2chなどでも知られている内容なの
でしょうけど、切り口が違うだけでコレほ
ど受け入れられるんだなと。びっくりする
と同時に、まだまだ自分も精進せねばと思
いました。
>流さん
ああ、同人誌まで、ありがとうございま
す(×3)。
紹介頂いた動画、懐かしいというか、いつ
のまにか声がついてる・・・だけでなくて解
説もついたんですね。数字を使ったわか
りやすい解説とかやろうとすると、とたん
に駄目になる私でございます。
投稿情報: しきしま@管理人 | 2009/11/25 03:44
はじめまして。KAiRUと申します。
アキバBlogの記事を読み飛んできました。
この世にこんな素晴らしい本があるとは知りませんでした。
ハヤブサファンの私としてはぜひ呼んでみたいのですが、一歩遅かったようでcomic zinでの通販は売り切れていました。
なんとかもう一度委託していただくことはできないでしょうか?地方在住の自分には通販しか頼るすべがないのです。
投稿情報: KAiRU | 2009/11/25 01:56
はじめまして、ニコ動での動画作成者johnnyと申します。
紹介リンクから参りました。
動画の紹介をして頂き、誠にありがとうございます。
ストーリーにつきましてのご意見、ありがたく頂戴致します。
次回作の際は、このページで得た知識を元に、少しでもいいものを作れるように、尽力致します。
これからもよろしくお願い申し上げます。
投稿情報: johnny | 2009/11/24 23:23
同じく初めましてです
萌衛星図鑑で入って、丁度今日委託の2冊が届きました
ハレー艦隊はリアルタイムで「Newton」読んでたので懐かしかった……
リンクは同じくはさぶさの、こちらはミクによる替え歌動画です
1:05以降が泣けます……
投稿情報: 流 | 2009/11/22 21:43
反応して頂きありがとうございます。そして内容の補足もありがとうございます。
この動画11/20に投稿されすでに15万回以上の再生がされています、多くの人達が、はやぶさミッションに関心を持っていることが伺えます。無事帰還を祈るばかりです。
投稿情報: にーしゃん | 2009/11/22 09:12
はじめまして。
「こんなこともあろうかと」の動画も素晴らしいですが、こちらも素晴らしいですよ。
【探査機はやぶさ】 「イトカワをねらえ!」【MMD】‐ニコニコ動画(9)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8542502
この動画で使われているはやぶさなどの資料は「現代萌衛星図鑑」です。
投稿情報: 越後屋善兵衛 | 2009/11/22 00:29