■「はやぶさ」帰還から1周年ということで、月刊「星ナビ」様からお仕事を頂きました。「はやぶさ」ブームとはなんだったのか、というテーマで見開きでコラムを。それとは別に「はやぶさ」模型レビューもさせていただきました(天文誌なのに・・・)。「はやぶさ」について、ではなくて「はやぶさブーム」について、と言うところがミソで、いち同人屋から見た視点でのブームについての解説となっています。
・ブームの成り立ちを改めて文字にしてみると、あらためて「はやぶさ」とは数奇な運命をたどった探査機なのだなあと再認識。2003年に打上げられた「はやぶさ」、皆さん当時の打上げ中継環境を覚えておいででしょうか。
マスコミによる露出は殆ど無く、ネット中継はつながらず、唯一宇宙作家クラブ様の掲示板が生きた情報源でありました。その後、「はやぶさ」は2007年帰還を断念し2011帰還となる間に、ネット回線は著しく高速になりyoutubeがうまれニコ動が生まれISASはJAXAになり広報スタイルは大きく変わりました。結果として3年遅れても「はやぶさ」を地球に帰還させるという関係者の粘りが、時代の変化まで味方に巻き込んだ、とも言えないこともないわけです。
月刊「星ナビ」7月号は「はやぶさ」総特集。ミッションの総括やイトカワサンプルの解析、ISAS広報の方のコラム、「はやぶさ2」やプラモレビューなど、おおよそ「はやぶさ」についてハード/ソフト問わず関係するものをほぼ網羅。価格も手ごろなので、「はやぶさ」についてとりあえず一冊、とお考えの方には良い本だと思います。是非よろしくお願いします。
当時の通信環境の話が出たのでちょっとだけお話を。
2003年当時、内之浦のあの辺で電波が入る携帯キャリアはauのみで、それもアンテナ1本立つか立たない…というかほとんど立つことがないという状況でした。
もちろんPHSなんか入るわけなく(というかモバイル定額サービス自体携帯会社含めてない)、内之浦観測所前の電話BOXは緑色(非ISDN)。携帯用のwebサービスも非常にお粗末なものしかなく、一般サービスとして携帯から書き込める掲示板を提供しているところはほとんど皆無に等しく(2ちゃんねるも不可)、現地からの実況は有志が立ち上げた携帯書き込み可能な掲示板(画像添付不可)を使うか、ノートPCに(宇宙作家クラブなら報道席の回線が使えますが、一般は)不安定な携帯つないで細い回線を手繰り寄せて細々と画像をUPしたりホームページをビルドするしかありませんでした。こんな感じで
※当時有志一同によって実際に行われた速報(但し、画像を添付した先は@niftyと契約を解除した為リンク切れ。内容は先日お渡ししたCD-Rやtwitterの@hayabusa8-1あてにつぶやいたものとだいたい同じです)
http://garlandjunction.web.fc2.com/030509soku.htm
パブリックビューイングも今のように打ち上げやドッキングなどイベントのあるたびにいろんなところでやってくれるはずもなく、…はやぶさのパブリックビューって相模原であったんだっけ?(当時、航空宇宙事業体統合前なので筑波と有楽町国際貿易センター、調布ではやらなかったはず)
当時の種子島もNTTドコモがさらに使えるぐらいでほぼ変わりなく、だから今「動画で生中継を一般の人が出来てしまう」というのを見てると、時代は本当に便利になったなぁ…。としみじみ思います。
こうやって発信媒体や発信内容(文字から画像、動画、モバイル生放送発信へ)など「個人が発信できる情報」がどんどん高度化されていったことがはやぶさ応援ムーブメントをここまで大きくすることが出来た一因であることは確かでしょうね。
今ではスマートフォンでISSや衛星・探査機がどこに見えるのか覗き見られるようなコンテンツもありますし、これから先、何がさらに可能になりどんな応援手法が出てくるか想像すると、オラァなんだかワクワクして(ry
投稿情報: 他称・失脚 | 2011/06/21 17:13