2011年、本年もよろしくお願いします。
最初の更新は、もちろんHTV-2号機について。明日1月20日、宇宙ステーション補給機「HTV」2号機が種子島宇宙センターより打上げられます(「こうのとり」という愛称が付いておりますが、呼びにくいので今回はHTVで行きます)。
・【HTV2号機特設サイト】
http://www.jaxa.jp/countdown/h2bf2/index_j.html
※明日20日の打ち上げは天候不順のため延期となりました。
1:宇宙宅配HTV HTVとは国際宇宙ステーション「ISS」へ荷物を運ぶ無人の輸送船のこと。スペースシャトルと違い人は乗せられず、ISSに荷物を運び込んだあとはISSの不要物を詰め込んで大気圏に突入、破棄されます。つまり片道切符の使い捨て宅配便です。技術的に面白い特徴は色々あるのですが、基本的な解説は初号機の解説を見て頂くと良いと思います。→(昨年の記事)
2:さらに安全に HTV2は昨年打ち上げられた初号機の教訓が様々に反映され、より使いやすく安全な宇宙船として仕上げられています。
今回の変更点として、まずは人が出入りできる予圧部の間取りが変更され構造がシンプルになったこと。これによりスペースが拡大しより荷物が積めるようになった。そして初号機で11台搭載されていた一次電池のうち4台を廃止。初号機では万が一に備えて多めに積まれていた推進剤を減らして適量に。これにより貨物搭載量は初号機の4.5トンから最大6tトンに増大します。H-2Bの打ち上げ能力が当初の想定を上回っていることが確認されたため、HTV全体の重量は前回よりも0.5トン重い16.5トンでの打上が可能となりました。加えてパナソニック製の宇宙用LED照明が初めて使われることにも注目です。
更に信頼性対策として、初号機でエラーが発生した誘導用ソフトウェアの改善。前回加熱が問題となった姿勢制御スラスタには前回よりも計測上限の高い温度センサへの変更。「あかつき」事故の水平展開として燃料供給ラインの再点検も行われています。
3:ミッションスケジュール 1月20日15時29分に打上げ。ISSとのドッキングは一週間後の1月28日を予定しています。ここまで日数がかかるのは、HTVの性能的なものでは無くて手続き上の問題なので、やろうと思えばシャトルやソユーズと同程度の日数でのドッキングも出来るのだそうです。ドッキング後の係留期間がシャトルの都合から、前回の43日以上に長くなりそう、とのこと(HTVの設計上の係留可能期間は30日です)。
4:今回の見所 なんといっても、2010年2月にISSに設置されたキューポラに要注目です。このキューポラとは7枚のガラスで構成されたロボットアーム観測ユニットであり、平たく言えば宇宙展望台のこと(こんな感じ→■)。このキューポラから眺めるHTVはさぞかし魅力的であろうと思います。さらには、HTVの係留中にスペースシャトルまでもがドッキングすることも予定されており、この場合は、ISSに係留されているHTVを外から撮影されることになるかも知れません。またシャトルのドッキング時にはHTVがジャマになるので、ドッキングしているHTVを一回引っこ抜いて別の場所に刺したあと、シャトルをドッキングする、というミッションも予定されています。
あとはH-2B2号機は、段間部の白色(断熱)塗装が廃止されましたので、従来通りの黒いマフラーを巻いたH-2Bが出てきます。今回初めて行われる2段目エンジンのアイドル燃焼を用いた制御落下実験も注目です。
4:そして最後にライブ中継 残念ながらJAXA-iは閉鎖されてしまいましたが、パブリックビューイングは無くなりません。ネット上での生中継も行われますので、お時間に余裕がある方は是非是非パソコンの前に。・・・島の天気がいまいち不安定なのが気になります・・・。
・打上げライブ中継、パブリックビューイングなど
http://iss.jaxa.jp/htv/mission/htv-2/library/live/
HTVは書き出すとネタがいっぱいあるのですが、自重しておかないと同人誌のネタがなくなってしまうので本日はここまで。次回は「HTVは何故自動ドッキングを捨てたのか」について書いてみたいと思います。
最後となりましたがHTV2号機の打上げ成功を心よりお祈り申し上げます。それではノシ
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